FumioBlog(ビジネス/読書)

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大前研一著:「企業参謀」の内容と気づき(ポートフォリオ管理、製品・市場戦略)

はじめに

   経営関係について学んでいます。今回は大前研一氏の企業参謀を読んでおり、その内容をまとめます。

製品系列のポートフォリオ管理

 1960年代中ごろに業績の低迷から脱却することを図るため、GE社が抜本対策としてマッキンゼー社とボストンコンサルティンググループ社と連携して生み出した経営管理手法です。

 複数の事業を扱う企業において、何をどのような順番で事業を優先順位付けして取り組めば良いかを示すためのフレームワークです。

事業マトリクス

 第一のプロセスは多種多様な製品系列のおのおのについて、次の二つの変数に対する理解を深めることから始めます。

(1)会社が自由に操作できない、外的変数としての業種の健全性:産業セグメントの持つ成長性、収益性等 (2)与えられた業種における会社の持つ優位性、潜在力などの会社の努力次第で影響を及ぼし得る内的変数:シェア、技術力、資金力など

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 この二つの変数を軸に上記図のように表します。例えば、図中のAに示した事業は非常に有望な業種であるにもかかわらず、当該会社のこの事業の地位は劣位にあることを示している。一方、Bの事業は当該会社の誇りとする事業であるものの、業界自体は衰退の一途をたどっている問題児であることが分かります。

 ボストンコンサルティンググループ社は、市場成長性とシェアから成る座標をこちらの4つの部分に分けることで表した。

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製品・市場戦略

 マーケティングとは、売ることに関する総括的な技術について指しているとされています。

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 上図は製品・市場マトリクスと呼ばれる表です。左下の象限に現有製品の持つ現有市場を示します。一番リスクが少ないケースは、市場を同じくして新製品を打って出る場合です。例えば、カメラメーカーであれば元々一般消費者向けに販売していたフラグシップ一眼レフカメラに対して、ライトユーザー向けのカメラ等といった場合です。次に、リスクが中程度の場合は市場が新しく製品が同じものです。先ほどのカメラメーカーの場合であれば、一眼レフカメラを業務用として展開するケースと考えられます。そして、一番リスクが高いケースは市場及び製品自体が新しい領域で勝負する場合です。例えば、カメラ技術を使って防犯カメラ+システムの活用による防犯システム販売等といった場合は製品も市場も新しいと考えます。

 日本企業においては、おそらく市場が同じで新製品を開発する場合や同じ製品で新市場を開拓することは得意であると考えます。冨山氏のコーポレートトランスフォーメーションにて指摘されていた日本企業特有の経営方式である終身年功型に合うすり合わせ力が発揮される領域だからです。

製品・市場戦略策定のプロセス

ステップ1.市場性の動的把握
ステップ2.内部経済の分析
ステップ3.競合状態の把握
ステップ4.KFS(Key Success Factor)に照らした自社の強さ、弱さの理解
ステップ5.改善機会について仮説の抽出・評価
ステップ6.改善実施計画の作成・実施
ステップ7.モニター、必要な軌道修正

製品・市場戦略の策定にはこちらの7ステップを踏むことが賢明であるといわれています。PDCAサイクルに当てはまるとステップ1~5までがP;プラン、ステップ6がD:実行、ステップ7がC:チェック、A:分析となるため、プラン:計画を立てることが大部分を占めることを示しています。

終わりに

 ポートフォリオ管理は複数の事業を経営する企業にとっては、事業全体を把握するために必要なフレームワークであると理解しました。製品・市場戦略に関しても同様なことが言えますが、いずれにしても客観的に判断しようと試みることで主観的な思い入れや色眼鏡を極力排除することが、利益率の向上と安定的な経営に向けた大事な手法であると思いました。