FumioBlog(ビジネス/読書)

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企業戦略論第一章「戦略とは何か」要約:バーニー著

はじめに

 企業戦略論として有名なバーニー氏の著書「企業戦略論」の第一章についてのまとめです。

要約

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戦略の定義

 ビジネスにおける戦略の定義は人によってさまざまあります。本著のおいては「いかに競争に成功するか、ということに関して一企業が持つ理論」と定義しています。

 競争に成功する、とは企業についてどのような意味を持つかをかみ砕きます。

 一般に競争を実行に移すと、企業のポジションは「競争優位」「競争均衡」「競争劣位」のどれかの状態になります。  これら三つのポジションは下記で定義されます。

1.競争優位:企業の行動が経済価値を創出し、同様の企業がほぼ存在しない 例:マイクロソフトでの「OS分野の強みをアプリケーションソフトウェアへ展開」 2.競争均衡:企業の行動が経済価値を創出するものの、他の複数の企業も同様の行動をとっている 例:ホンダがアメリカへ大型二輪を販売しようと乗り込んだこと 3.競争劣位:企業の行動が経済価値を生み出さない

戦略と企業のミッション

 企業のミッションとは、その企業の根本的な目的と長期目標のことです。このミッションに基づいて競争戦略が練られることがよくあります。

 逆に、競争優位な企業が優位である要因がミッションをみればわかる場合があるということです。ミッションは企業理念、経営理念、社是・社訓と呼ばれることがあります。

トヨタ自動車のミッション(=基本理念)

 ここで、例としてトヨタ自動車株式会社の基本理念を下記に示します。
1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる 6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する

global.toyota

 2020年4-6月の第一四半期の決算が報告されています。販売台数は前年同期比で50%減の115万8000台となるものの、営業利益139億円と黒字を確保しています。

トヨタ、2021年3月期 第1四半期決算を発表。営業利益139億円、純利益1588億円の黒字確保 - Car Watch

 同業の完成車メーカーが軒並み営業赤字となる中、トヨタ自動車は黒字を確保しています。

 これは私の目線から捉えると、グローバルな販売体制が整っている(6.グローバルで革新的な経営)ことや供給する部品メーカーとの原価・品質管理が厳格(7.開かれた取引関係を基本に)であることが要因であるように感じます。

戦略と企業経営の環境条件

 競争優位獲得のために分析をするフレームワークとしてSWOT分析があります。このフレームワークは、企業内部に目を向けて企業の強み(S:Strengths)と弱み(W:Weaknesses)を洗い出します。さらに企業外部に目を向けて機会(O:Opportunities)と脅威(T:Threats)を洗い出します。

 戦略を立てる上で、企業及び周囲環境を丁寧に分析する手段として有用なものといわれています。このSWOT分析により得られた知見を基に、取るべき戦略を練ることができます。

終わりに

 ビジネスにおける戦略という言葉の理解とミッション(=経営理念)の関係を理解しました。特に経営理念については、より抽象的・概念的な言葉のほうが理解しやすくなります。一方で、その企業の独自色が失われてしまう恐れもあるため、語句一つ一つを入念に考える必要があります。