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企業戦略論第八章「製品差別化」要約:バーニー著 (前半部分)

はじめに

 バーニー著の企業戦略論のうち、第八章「製品差別化」の前半部分についてまとめます。

製品差別化の定義

 製品差別化とは、市場が認知する他社の製品・サービスの価値に対して、自社の製品・サービスの認知上の価値を増大させることにより、企業が競争優位を獲得しようとする事業戦略です。

 企業は製品差別化戦略を実施することで自社の製品やサービスの客観的属性を変えます。しかし、最終的には常に顧客の認知の問題です。

 異なる2つの企業が非常によく似た製品を販売することがあっても、もし顧客が最初の企業の製品の方が第2の企業の製品よりも価値があると信じていれば、第1の企業の製品が差別化による優位性を持つことになります。

製品差別化の源泉

 非常に多くの研究者が、過去の知見を基に差別化の源泉となる要素をまとめています。

1.製品の特長 2.機能間のリンケージ 3.タイミング 4.地理的ロケーション 5.製品の品揃え 6.他企業とのリンク 7.評判

製品の特長

 製品差別化は常に顧客の認知の問題ですが、企業が自社製品に対する消費者の認知に影響を与えるために採る最も当然の方法は、まずその製品やサービスをの客観的属性を変更することです。

 多くの業界において、企業は自社の製品を差別化するためにその性能や仕様を変更します。例えばボーズやヤマハは、音質にこだわることによって自社のステレオ装置を差別化しようとしていますし、ソニーは差別化のベーストして製品の物理的サイズにこだわっています。

機能間のリンゲージ

 企業内における複数の機能間の連携があります。例えば、メインフレームコンピューターを販売するために、IBMは販売・サービス・ITコンサルティングの各機能部門を連携させてきました。

 顧客はIBMとの「関係」を買うのです。つまりその関係とは、高度なサービス、技術サポート、そして自社のビジネスをコンピューターによって変革する様々な方法を提示してくれるサービスです。

他企業とのリンク

 差別化の源泉が、社内機能の連携でも、複数の自社商品の組み合わせでもなく、自社の製品と他社の製品やサービスをリンクさせるところにある。

製品差別化の源泉に関する実証研究

 これまでは製品差別化の源泉となる可能性があるものを追求しました。次に、具体的に実証研究の手法で差別化した根拠を明らかにする手法をまとめます。


・多次元スケーリング
・製品価格決定要因の相関分析

 この2つの統計的手法と相関分析を用いてアメリカとオーストラリアで発売される耐久家電製品に関する製品差別化の源泉を調べた研究があります。    その結果、以下の5つの次元で差別化されていることが明らかとなりました。


1.特定顧客に合わせてカスタマイズした製品
2.製品の複雑性
3.消費者マーケティングへの傾注
4.異なる流通チャネル
5.アフターサービスとサポート

製品カスタマイズの程度

 特定顧客の用途に合わせてどの程度カスタマイズされているかによって、製品は差別化されます。

製品の複雑性

 製品はその複雑性によっても差別化されます。例えば、BICとクロスのボールペンを比べます。両方のペンは筆記性能そのものが差別化されていません。しかし、BICのボールペンは7つの部品から成り立っているものの、クロスのペンは数十の部品から成り立っています。 →どちらが製造コストが安いかは一概に言えません。少ない部品の方が組み立てリードタイムは少ないものの、部品加工コストが高い可能性もあります。

消費者マーケティング

 消費者向けのマーケティングにどの程度注力しているかも製品差別化の源泉です。ラーバやソフトソープといった手洗い石鹸は、テレビCMやクーポン券などで大量の消費者マーケティングが行われています。  一方、業務用の液体石鹸や粉末石鹸は、ほとんど消費者マーケティングによる支援が行われていません。洗浄能力そのものは同等であるため、洗浄能力そのものは製品差別化の源泉にはなりません。

まとめ

 製品差別化をする上での要因の分析をまとめました。