FumioBlog(ビジネス/読書)

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要約:イシューからはじめよ(Chapter0,1)+自身の振り返り

はじめに

 「イシューからはじめよ」著者:安宅和人 を読みました。今回はChapter0,1についての要約及び自身の仕事への振り返りと活かし方をまとめました。

イシューの定義、目指すべきところ

 イシュー度とは、「自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」と定義されています。

 私の場合で考えると、製造現場における各種の課題において、操業・品質・コスト等経営の目線からみたときの影響度の大きさ(=経営に影響を及ぼす) であると解釈しました。

 これは、解の質と合わせて二軸で表現できます。

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 ビジネスマンとしては解の質、イシュー度が高い右上のバリューがある仕事を目指していくべきだとしています。  このとき、ただ単純に仕事をしていくと犬の道と呼ばれる方法で右上に進もうとする人が多いといいます。

 重要なのは、いかに最初にイシュー度の高い問題を見極めて実行し、最初に右に進み、そのあと上に上がるかだそうです。

イシューを見極める

   上記のイシュー度が高く、解の質を高めるためには、イシューを見極めることが大事であると著者はいいます。  確かに、私の仕事においてもただ漠然と工場のコスト改善や品質改善を進めるだけでは、その仕事が経営からみたときの重要度は意識しません。

 例えば、工場である製品に特有な品質不具合が発生したときに、改善をしなければならないとします。    この時、この品質不具合は短期的にみたらコスト悪化に繋がると判断されるものの、製品自体が向こう1年後には生産する必要がないと分かっていれば、改善する優先順位は下がることもあります。  もちろん、その短期的なコスト悪化でも全体のコストに占める割合が大きければ取り組む必要がありますが。

 この俯瞰的な視点(=会社であれば、経営の立場)で課題を捉えられているかは、常に意識しておかないと感覚が鈍るものだと私は実感しています。

良いイシューの3つの条件

さて、良いイシューとして3つ著者は挙げています。

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本質的な選択肢であること、深い仮説があること、答えが出せることです。

本質的な選択肢であること

本質的な選択肢とは、カギとなる質問と著者は定義します。あまりピンとこないので、例を挙げると食品メーカにおいて「商品Aが売れない」という課題を考えます。

 多くの場合、最初に出てくるイシューとして「Aの商品力がない」または「Aに商品力はあるが販売方法が良くない」となります。

 しかし、そもそも「Aの市場規模が縮小している」という場合もあるかもしれません。その場合は、Aの商品力は落ちていないが、市場規模が縮小している影響を受けているだけの可能性もあるため、取り扱うイシューが変わります。

深い仮説がある

 仮説を深いものにすることで、良いイシューとなります。この方法として、「常識を否定する」ことが重要と著者はいいます。

 天動説の常識であった時代に、地動説を唱えたことを例に挙げています。ビジネスの世界では、「拡大していると思われている市場が、先行指標では大きく縮小している」といった例のようです。

 常に、常識を疑うと説いています。しかし、ここはかなり難しい見方であるように思いました。これまでの経験や知見をベースに考えてしまう癖があるからです。

答えが出せること

 明確な答えを出せるイシューが良いとされています。

 ただ、実際のビジネスでは答えを出しにくい問題が山積みといわれています。例えば、「3~8社くらいまでの企業数で市場の大半を占めている場合、商品の値付けはどうすべきか」といった問です。

 現在でも明確な決まり手はないとされています。

 この答えを出しにくい問題に関しては、良いイシューとなりにくくそこに時間を割かないことが大事だといっています。

 

イシュー特定のための情報収集

   イシュー特定のための材料(=情報)を取り入れる方法は3つポイントがあるといいます。

一次情報に触れる

 誰のフィルターも通っていない情報のことです。

・モノづくりの場合:生産ライン、調達の現場に立つ。 ・販売の場合:販売の現場に出向く。 ・商品開発の場合:商品が使われている現場に出向く。

 まさにその通りですね。製造業では(弊社特有かもしれませんが)五現主義と言い、「現場・現物・現実・原理・原則」を大事にする風土があります。

 二次情報以降は、誰かの思いやフィルターが入っているため本質を捕まえられていない可能性があります。

基本情報をスキャンする

 次に、一次情報から得た感覚を持ちつつ、世の中の常識・基本的なことをある程度漏れなくダブりなく素早くスキャンすることがポイントです。

 通常のビジネスにおいては、

  1. 業界内部における競争関係 2.新規参入者 3.代替品 4.事業の下流(顧客・買い手) 5.事業の上流(サプライヤー・供給企業)

となります。

集めすぎない・知りすぎない

 やりすぎないことも重要なポイントと著者はいいます。情報収集にかけた努力手間と、得られる情報量はある程度正の相関があるものの、そこを過ぎると極端に新しい取り込み量が減るとのことです。

 これは、私の仕事においても気を付けるべきポイントとして、刺さりました。

 人ものカネの流れを大よそ知ってしまったとき、○○さんにはこの資料の書き方だと通りにくい、△△さんがこのポジションにいるときはこの案件は通さない方が良い、等事業の本質と異なるところで止まってしまうことに繋がることを表していると考えます。

終わりに

 取り組む仕事について、イシューの観点で改めて棚卸しするきっかけを得ました。また、イシューは動く標的であるという表現はよく肝に銘じておきたい言葉でした。

 その時々で経営において重要となる観点は変わってくることを示しています。

 頭でっかちに決めつけずに柔軟に課題を解釈・再定義していく勇気を持つことが本質的なイシューへ近づくポイントであると理解しました。