FumioBlog(ビジネス/読書)

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要約・気づき_日本企業のサプライチェーン戦略を再構築する(BCG内田氏記事)

はじめに

 ハーバードビジネスレビュー2020年12月号の記事である「日本企業のサプライチェーン戦略を再構築する」についての要約と気づきです。

www.dhbr.net

要約

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所感

企業ガバナンスとデジタル化

 グローバル企業では個人の職務範囲が厳格に規定されています。これは、手を抜かれてしまうことがあるからです。ガバナンスを効かせる上でデータをなるべく取得し、事実に基づいた管理をするという発想が根付いているとのことです。

 一方、日本企業は自発的に対処してくれるという前提でマネジメントするケースが多いようで、性善説に立ちすぎていてガバナンスが甘くなりやすいといわれています。

 この点の発想は新鮮でした。職務範囲を厳格に決めるうえでデータを多く集めることはKPIを明確に設定できることにもつながります。トップダウンの色合いを強くするうえでは有効な手段だと感じました。

縦割り組織の弊害

 サプライチェーンのどこかで問題が起きれば必ず重大な支障が出る一方、その改善が必ずしも担当部門の利益に直結するとは限りません。

 例えば生産部門が販売部門からリードタイムを短くしたいという要望を受けた場合、製造コストを上げることで達成できたとします。その製造コストアップよりもリードタイムが短いことで販売価格のアップや販売量拡大による利益が多い場合は進めて良いと判断できます。これは、全体が分かる経営レベルが判断しなければなりません。

 この時、現場力が強い日本企業の場合は各部門間が強いためサプライチェーンの変革を目指す取り組みが理解されることが難しくなります。  また、事業部ごとに独立した損益計算書を持つ場合はこの問題はさらに複雑化します。事業の垣根を越えて共通の倉庫を設けるとコスト効率が上がる一方、特定の事業部のコスト増を強いられる等短期的な損益勘定が優先されるため全体最適の意思決定が下されません。

   冨山和彦氏やアビームコンサルティングの安部慶喜氏が主張する内容と同じく、高度経済成長期に構築された日本企業の文化が弊害として表れていると主張しています。その文化を変えることがグローバル化とデジタル化が進む現代の企業に求められていることであることを改めて理解できました。