マクロ経済学についてまとめ(GDP編)
はじめに
今回は下記本を読んだ内容を簡単にまとめます。
- 作者:ティモシー・テイラー,池上彰
- 発売日: 2013/07/26
- メディア: Kindle版
GDP(国内総生産について)
GDP(Gross Domestic Product)は日本語では国内総生産と訳します。1年間に生産(=供給)された最終生産物の総額です。また一方で、1年間どれだけのものが買われたかと同義です。
つまり、生産されただけでなく販売されないとカウントされない点が注意です。
例を挙げると2009年のアメリカのGDPは14.2兆ドル(≒1420兆円)でした。生産の面からみると、66.2%がサービス、13.4%が耐久財(冷蔵庫や自動車など)、13.4%が非耐久財(食べ物や衣服など)、そして7.7%が構造物となっています。
サービスには医療や教育、金融、法律相談、散髪、自動車修理、芝刈り、掃除、保育等多種多様なサービスが含まれます。
次に、需要の面から考えます。2009年アメリカのGDPの70%は個人消費で占められます。また11%が企業の設備投資になっています。
需要から見たGDPを簡潔に表すと、C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+X(輸出)- M(輸入)となります。
GDPに反映されない項目
人々が以前と同じ生産性を保ったまま労働時間を減らし、毎年2週間の休みをとれるようになったことを考えます。この場合、人々の暮らしは良くなりましたがGDPには何の変化もありません。また、環境への取り組みで大気汚染が劇的に減ったとしても、GDPがマイナスになることはありません。
一方、自然災害などで大きな被害が出ると、町の修復が必要になるため短期的にはGDPが上がります。この場合、被災した人々の暮らしは苦しくなっているのにGDPで見ると良くなっているように見えます。
このように不完全な点もありますが、それでもGDPは経済の状況を知るための非常に優れた道具です。一人当たりGDPが大きい国は、やはりいろいろな意味で豊かな暮らしをしています。
経済的豊かさと幸福度の関係
このGDPと幸福度について調査を行った結果があります。
幸せと子と絶えた人の比率から不幸せと答えた人の比率を差し引いた値を幸福度指数としています。
先進国は経済面で高い位置にいますが、幸福度は概ね40%程度です。一方でコロンビアやベトナムは経済面では80%以上に位置しています。 つまり、経済的な豊かさと国民の幸福感は必ずしも相関するわけではないことが分かります。
この関係だけ見るとむしろGDPが高いと幸福度指数は収斂されていき、GDPが低いと幸福度指数にはバラツキが表われるようにもみえます。
※出展:第一生命経済研レポート2016.07より抜粋
終わりに
GDPについてまとめました。経済発展は国民が豊かに暮らすために必要なことですが、それが幸福度に必ずしも繋がっていないことが分かりました。示唆に富む結果と思います。