FumioBlog(ビジネス/読書)

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マッキンゼー編「企業価値評価」の内容(株主資本と社会的問題、本書の目的)

はじめに

 今回はコンサルティング会社であるマッキンゼー社がまとめた「企業価値評価」について、読んだ内容をまとめます。今回は第1章についてです。 

価値創造の基本原則

 企業は手持ちのキャッシュを投資して、より多くのキャッシュを将来生み出すことで、その所有者に対して価値を創造します。

 企業の価値創造の大きさは、ROICと売上高の成長率、そしてそれをどれだけ維持するかで決まります。ただし、ROICが投資家にとっての機会費用である資本コストを上回ったときのみ、企業は価値を創造するということを念頭に置く必要があります。

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株主資本主義はすべての社会的問題を解決できない

 企業の経営者が直面するトレードオフの中には、株主志向でもステークホルダー志向でも解決できないものがあります。

 例えば、二酸化炭素の排出に伴い直接的に企業と関係しない第三者が影響を受けるといった、外部性と呼ばれる問題においては、ステークホルダー間の利益が客観的な基準で測定できず、これらの問題は企業1社の経営判断の域を超えてしまいます。

 

SDGsと企業経営の関係

 SDGs(Sustainable Development Goals)は持続可能な開発目標と訳すことができます。2001年に策定されたミレニアム開発目標MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。

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 1972年マサチューセッツ工科大学のメドウズらにより発表された「地球の限界」は、地球資源をふんだんに使いながら拡大してきた世界経済の成長は、このまま続くと100年以内に限界を迎えるという提言でした。

 2015年に国連総会で決議されたSDGsは、国や途上国だけでなく、先進国の課題を網羅し、民間企業による取り組みを求めた点が大きな違いでした。

 持続可能性を重視するSDGsでは、本業そのものにSDGsに考え方を組み込むことを前提としています。そのため、事業を行い企業が利益をあげることが同時に社会や地球環境の改善につながるようなビジネスモデルが求められています。

 ネガティブな言い方をすると、企業が事業活動を行う際にSDGsの考え方を組み込まなければ、株主やステークホルダーからの信頼を得ることに繋がらない状況となってきています。従って、二酸化炭素を大量に排出する企業においてはこの観点で排出量を大幅に減らす研究開発等の取り組みをしている点をアピールすることが、SDGsの取り組みに繋がり株主やステークホルダーへの信頼を得ることになるのです。

本書がまとめること

   価値創造の大きさは、企業の成長率とROICが資本コストをどれだけ上回るかの組み合わせによって決まります。この価値創造の原則は、事業戦略の要である競争優位性と結びついています。企業は明確に定義された競争優位性がなければ、高い成長とROICを持続できません。また、持続的な価値創造には、先ほどの社会・環境・技術や規制などの動向を幅広く考慮した長期的な努力が必要であることも忘れてはいけません。

終わりに

 企業価値評価として、利益率とROICを上げています。他の著者(冨山氏や大前研一氏など)の方が書く戦略本においても、このROIC:投下資本利益率を上げていました。株式会社においては出資された資本や銀行からの融資を元に利益を生み出す企業活動を行っています。単純な利益率であれば、これら資本や融資の影響が反映されていません。

 ROICを重視する考え方が各会社のIR情報で反映されているか確認してみようと改めて思いました。